看護師が知っておきたい肝臓癌の治療と看護のキホン

肝臓がんの治療

肝細胞がんは、肝障害度、腫瘍度、腫瘍径などから
治療方針を決めていきます。
そして、治療の種類は、肝切除や肝移植などの外科治療、
おもにRFAの経皮的局所療法、TACEの肝動脈化学塞栓療法、肝動脈化学療法などの内科療法があります。

肝臓がんの治療法と合併症

<外科治療(手術)>

 

・肝切除

 

転移がなく、肝予備機能が良好な場合、病巣の切除を行います。

 

確実な治療効果が期待できるというメリットがありますが、
肝予備能力が良好な症例のみしか行う事ができず、体への負担が大きいというデメリットがあります。

 

術後の合併症は、術後早期合併症として出血、胆汁漏、腹腔内腫瘍などがあり、
その他の合併症として腹水、肝不全、呼吸器合併症、創感染などがあります。

 

・肝移植

 

肝移植は、ミラノ基準を満たした場合に考慮されます。
肝移植には、生体肝移植と脳死肝移植があります。

 

* ミラノ基準とは

 

 腫瘍が単発で腫瘍径が5cm以下
 腫瘍数が3個以内で、腫瘍径が3cm以下
 脈管侵襲や遠隔転移を認めない

 

肝移植を行うと、肝硬変も治療できるので、
他の治療と比べ良好な予備が期待できるというメリットがあります。

 

生体肝移植では、臓器提供者が必要です。
また、移植の後は長期間免疫抑制薬が必要だというデメリットがあります。

 

合併症は、血栓症、術後出血、縫合不全、吻合部狭窄、拒絶反応、感染症などがあります。

 

<内科治療>

 

・経皮的局所療法(代表的な治療:ラジオ波熱凝固療法(RFA))

 

経皮的局所療法は、超音波ガイド下に経皮的にアプローチして行う治療法で、
代表的な治療にはラジオ波熱凝固療法(RFA)があります。

 

経皮的局所療法は、超音波ガイド下で電極をつけた針を刺入し、
腫瘍部に到達させ、ラジオ波を照射することにより
腫瘍を壊死させます。
電極が熊手状に広がるので、1回で照射できる範囲が広いです。

 

経皮的局所療法は、手術と比べて身体への負担が少ないことや、
複数個の肝細胞がんを治療できる、再発してもくり返し施行できるなどのメリットがあります。

 

ですが、大きな腫瘍では、手術と比較すると、局所制御効果が劣るというデメリットがあります。

 

経皮的局所療法の合併症としては、発熱、疼痛、肝機能障害、嘔気・嘔吐、全身倦怠感などがあります。
また、重篤な合併症として、腹腔内出血、血胸、気胸、肝不全、皮膚熱傷、胆管損傷、
肝腫瘍、臓器損傷、門脈血栓症、腫瘍の播種などがあります。

 

・肝動脈化学塞栓療法(TACE)

 

肝動脈化学塞栓療法(TACE)は、肝動脈の分岐にカテーテルを挿入して、
塞栓物質に抗がん薬を加えて、塞栓する治療法です。

 

がんに栄養を送る動脈を多孔性ゼラチン粒などの塞栓物質でふさぎ、
腫瘍を壊死させます。

 

肝動脈化学塞栓療法(TACE)は、腫瘍の大きさや個数を問わず治療ができるというメリットがありますが
塞栓療法や抗がん薬による副作用があるというこや、局所再発率が高いというデメリットがあります。

 

肝動脈化学塞栓療法(TACE)の合併症は、穿刺部からの出血や、
治療後の嘔気・嘔吐、発熱、上腹部痛が生じる合併症や、
肺塞栓、胆管のえし、虚血性胆嚢炎(胆嚢梗塞)、胆汁嚢胞、肝腫瘍、
肝梗塞、肝不全、胃・十二指腸潰瘍、脾塞栓、急性膵炎などの重篤な合併症が起きることもあります。

 

・肝動注化学療法

 

肝動注化学療法は、肝動脈内に直接抗がん薬を注入する方法です。

 

高濃度の薬剤が肝臓に届くので、全身投与した場合に比較すると
高い抗腫瘍効果と副作用軽減ができるというメリットがあります。
ですが、リザーバーの留置が必要なこと、
抗がん薬による副作用があるというデメリットがあります。

 

リザーバー留置に伴う合併症には、出血、感染があり、
肝動注化学療法に伴う合併症は、全身倦怠感、嘔気・嘔吐、食欲不振、
好中球減少、肝障害、腎障害などの化学療法の副作用や、
胃・十二指腸潰瘍、リザーバー部の皮膚潰瘍などがあります。